プログラムをご覧の通り、これはダンス・フェスティバルではありません。ダンスは一例題に過ぎず、私たちが体現したいのは溌剌とした<ARTCAMP>の精神です。私たちの中身が踊っていること、その精神が永遠に若いこと、意識化された共同性を信じていること。
個人が突出した独自より、個の内容とアクティビティが相互に関連し、全体を構成してゆく機能=帰納。私たちはその突破口を、ことしは多民族国家の紛争、試練を乗りこえようとするセルビアのアーティストや、建築職人の知恵やわざ、伝統芸能の共同体、等々にまなぼうと思います。
出来上がった形式より、混迷おおいに結構。空や大地に、他者に、みずからの身を投じ、ひたすら全方向に向かってからだを開いてゆく。お日様の下で、名前のない踊りを競いあう。夢中で花宿の屋根を、床をつくる。描く、奏でる、映す、演じる、語る、遊ぶ…。過去と現在、ヒトと地球の際限のない交流と交感の営為が<自然>だとしたら、私たちはかたち以前・かたち以上の体験を得る手だてとして、何らかの表現を選んでいるのかもしれません。
ものの辞書では「思想・感情・生の充実感など、内容にかかわる美しさ」を<内容美>と称ぶそうです。美シクアッテモナクテモ、でき得る限りスベテを手作りで、全器官の純情とともに私を稼働させてゆきたい。ダンス白州と銘打って4年目、ARTCAMP
16年目の夏に、戸口はありません。どこからでも自在にご参加ください。(事務局長 斎藤 朋)

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