ダンス白州2006
芸能と工作・大地との生存─舞踊・芝居・音・美術・物語・建築・映像・農業
home message performances workshop information news&blog link contact

message

 

 「孤独は山になく、街にある。一人の人間にあるのではなく、大勢の人間の“間”にある」。戦前の哲学者・三木清(1897-1945)がしるした箴言が、奇妙に胸に迫ります。時代がまた逆戻りしているのでしょうか? 巷の誘導型経済や政治は、便利なメディアと情報で自由を保証しているかのように見えますが、そこにあるのはあきらかに個人の囲い込みと分断です。私たちはいま、他者や過去、世界と交流する当たり前のからだを急速に失いつつあります。

 昨夏、ある批評家は「収容所化がすすむ現代社会で、ダンス白州は抵抗の様式の一つだ」と言い放ちました。踊らされないコト。みずから感じ、考え、探し、動くコト。個性を称揚するより、共通項を、また様々な対象との「あいだ」にある意味を探ることの方が白州には似合っています。

 「孤独」という言葉に、あえて「感動」という概念を対置させてみたい。受動的な感情ではなく、ふかい共感をともった感動は、「感じたら、動く」人間の具体的なアクションをうながす力を持っています。

 今年は、スラウェシ島や早地峰、津軽などから、より多くの伝統芸能を招きます。無名の人々が継承し躍動してきた音や舞いに、伝統をたずさえつ最前線で活躍するロシア、日本の音楽家たち、非舞台に四苦八苦するダンサーたち。また久しぶりに還ってくる美術家たちの連歌式工作。あらゆる境界を取りはらい、生活含みで、おおらかな白州の空の下、自在かつダイナミックに意識とからだがまじわるチャンスです。より複層化する大地で、血と地がざわめき、踊りも、太鼓も、ラッパも、工作も、リズムを生んで、からだが無限の過去へ、そして近くへと共鳴してゆく日々。記憶と現在が、私と私以外の何物かにはげしく振動する18年目の夏に、どうかご参加ください。

(事務局長 斎藤 朋)

pagetop

 
 

Copyright(C) Dance HAKUSHU. All rights reserved.